今回は読者のみなさんから投稿していただいた「私が釣りで体験した怖い話(心霊・事故・ハプニング)」です。

最後にアンケートがありますので、一番怖かったお話に投票してあげてください。

見事1位~3位に輝いた方には賞品がございます。その他にも釣り太郎が選ぶ「釣り太郎賞」も1名選ばせていただきますのでよろしくお願いいたします。詳細は以前の記事でご確認ください。

 



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今後のスケジュール

掲載&アンケート実施・・・・・2016年12月31日(土)~2017年1月15日(日)

発表・・・・・2017年1月16日(月

 

本日のラインナップは以下です。

  1. 砂浜にたたずむ黒い影
  2. 異界との交流
  3. 首に走る衝撃
  4. 河原に落ちてたマネキン
  5. 釣り場から連れ帰ったもの
  6. イカ
  7. 川面に蠢く赤いもの

※ 最後にアンケートがありますのでご協力ください!

 

それではみなさんから投稿していただいた「私が釣りで体験した怖い話」、いってみましょ~・・・・。

 

砂浜にたたずむ黒い影

ペンネーム ヒラメバカ一代

夏の暑さがまだ残る、蒸し暑い9月のある日、私はサーフでヒラメを狙って夕間詰めを狙ってルアーを投げていました。しばらくしてゴールデンタイムに突入。しかしその日のサーフはベイトの気配もなく静かに時間だけが過ぎていきました。

それでもしばらく粘ってみるもののアタリはなくてもう帰ろうと思ったその時でした。ぐぐぐっとロッドに重さが伝わりました。「よし!ヒットだ!」と思ってやりとりをするも波打ち際で痛恨のバラシ・・・。悔しいなんてものではありません。

しばし呆然となったもののムキになった私はもうしばらく粘ってみることにしました。気づくと時刻はすでに午後8時頃になっていました。すでに日は落ち、周囲は暗く海には月明かりが反射していました。

あ~あ、今日は結局ボウズかよ。。。と思ってそろそろやめようと思っていた時、私は言いようの知れぬ視線を感じました。どこからかわからないけれど、誰かに見られているような・・・。でも周囲には私しか人はいないはず。

周囲を見渡すと遠くに(50メートルくらい?)に人影が。なんだ、やっぱり自分以外にも釣り人がいたのかと思いました。と、思いましたが様子が変です。動かないんです。釣りをしているような雰囲気でもない。

まぁ、何かの気のせいかと思い、帰り支度をし始めた私。

ふと、さっきの人影を見ると微妙にこちらに近づいています。(40メートルくらい?)あの人なんであそこにいるんだろう。なんかやってるのかな。と思いながらもなんか気持ち悪いなくらいにしか感じていなかった私。

さらに帰り支度を整えていざ帰ろうとしたときギクッとしました。その人影が明らかにこちらに近づいていました。というかもう会話できるくらいの距離でした。(10メートルくらい)

でも人というよりは人の形をした黒い影。周囲は真っ暗ですが、ぼんやりと黒い塊が見えます。目の錯覚かと思いヘッドライトをそちらに向けてみるとそこには何もありませんでした。

「なんだ、やっぱりなんかの見間違えか。」

と思いライトを他の方向に向けると私はさらにギクッ!!!としました。なんとその黒い影がさらに近づいているのです。ライトが当たらないと黒い影が見えるんだけどライトを当てるとなんにもないのです。

驚いた私はダッシュでその場を離れました。いったいあれはなんだったのか。今でもよくわかりません。

ですが、後日ちょっと怖い事実を知りました。実はそのサーフというのは潮の流れの関係で海でおぼれた海水浴客や釣り人が流れ着くような場所で何度か遺体が打ち上げられた場所だったのです。

その話を聞いてゾッとしました。

もちろんその後私はそのサーフで釣りをすることはなくなりました。

 

異界との交流

ペンネーム テツまるさんの投稿

それは、とても寒い夜でした。

朝マズメの狙いの場所を定め、漁港の片隅に車を停め、毛布にくるまり眠る準備をしました。

 

私の車中泊は、運転席のシートを倒して寝るだけのものです。特にフロントガラスを覆って目隠しをしたりしていないので、外から中を、中から外を普通に見えます。

 

あまり気にしていないのですが、なるべくなら覗き込まれたりしたくないので、車の前側を壁に向けて停め、通行する人には後ろを通ってもらうようにしています。

 

ところが、私が眠ろうとしてすぐの時、車の前の狭いスペースを、左側から右側へ歩く二人の男性がいました。身なりからして釣り人ではなく、漁業関係の方のようでした。

 

二人はゆっくりと歩いています。

 

そう言えばその頃、夜中に密漁でサザエや伊勢海老を狙う輩がいるので、夜警が回っていると聞いたことがありました。
きっとそれだろうと思いました。

 

二人は車内を覗き込んでは来ません。

私は心の中で『私は釣り人ですよ~。怪しいものではありませんよ~。』と唱えていました。

それが通じたのか、二人は車の前を通り過ぎました。

 

その後ろ姿を眠たい意識のままぼーっと眺めていると、突然、凄いスピードで二人がクルッと振り返り、バッチリと私と目が合いました。

うわっ!と驚いていると、一人がこちらにダーッと近づいて来ます。目を見開き口を大きく開け、襲いかからんばかりの勢いです。

私は固まります。その人は両手を前に突き出し、何と、車をすり抜け私の両肩にガッ!!と掴みかかって来ました!

 

…ウワァァァァアアアアああ!!!!!

 

と叫びながら、目が覚めました。

目覚めた時には夢?の続きの叫び声が口から小さく「ァァァ…」と漏れていました。

そして、夢と全く同じ場面で同じ体勢で寝ていたわけです。

しばらく、どこまでが夢でどこからが現実なのか、混乱してしまいました。

 

あまりにもリアルな体験に、ただの夢だったと簡単に割り切れませんでした。

あれは一体何だったのか、結局分からないままですが…。

あなたも夜の海で車中泊をするときには、異界との交流に巻き込まれるかもしれませんので、お気をつけ下さい。

もっとも、気をつけようがありませんけれども…。



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首に走る衝撃

ペンネーム タマネギ博士さんの投稿

シーバスを釣りたい下手っぴルアーマンの私はなかなかシーバスを釣り上げることができません。あの日も会社帰りに友人と待ち合わせをして近くの港に出掛けました。

友人と釣りに出掛けたといっても、友人も私も下手っぴなのでどうせ釣れないだろうなという気持ちで、釣りをしながらほとんどおしゃべりをしに行くようなものでした。

数メートルの間隔をとって横に並んで2人でルアーを投げていました。他愛もない話をしながらしばらくルアーを投げていましたがやはりなかなか釣れないので私はルアーを交換することにしました。

ルアーを交換するためにさっきまで並んで投げていたところから後ろに少し下がって、地面に置いていたルアーケースを覗きながらああでもないこうでもないとルアーを選んでいました。その間も友人はルアーを投げ続けていました。

(今思えば)次に投げるルアーを何にしようかとルアー選びに集中していた私の視界に何かが入り込みました。ですが、私は何も気にせず、ああでもないこうでもない、このルアーもいいけどこのルアーもいいなー、などといろいろ考えながらルアー選びに集中していました。

そうしているうちに、また視界に何かが入り込んできました。それでも私はルアー選びに集中していました。

 

と、次の瞬間、私の首に何かがアタックしてきました。と同時に後ろでシュッ!という音が・・・・。

 

なんだろうと後ろを振り向いた瞬間、私はすべてを理解しました。

さっきから私の視界に入っていたのは友人が投げていたルアーでした。

 

え、えぇぇぇえええ!!!

 

なんと私の首にアタックしてきたのはルアーだったのです。運よくそのルアーのフックは私の首に引っ掛かることはありませんでした。ものすごい確率で引っ掛からなかったのだと思うとゾーーーッとしました。

もしもあの時首にルアーのフックが引っかかってそのまま友人が渾身の力を込めてロッドを振っていたら・・・・。

今でも考えるだけでゾッとします。

ルアーを投げる時は自分が後ろに注意するだけでなく、他の人が投げるルアーにも注意しなくちゃいけないとその時心底思いました。

 

河原に落ちてたマネキン

ペンネーム ただのコーヒー好きさんからの投稿

私は夏場には川に行ってガサをしにいきます。川魚をとって家の水槽で飼うのが趣味です。

ある暑い夏の朝、まだ日も明け始めた頃、会社に行く前にガサしてました。いつものポイントでガサゴソガサゴソして、ドジョウやカジカやカワアナゴなどがとれてまぁこんなもんかなーと思って、またポイントを変えることにしました。

違うポイントに向かう途中に橋があって、その下をくぐっていくんですが、そこにちょっと違和感を感じました。橋の下に流木などが流れてきて溜まっている場所があったんだけど、その中から何かが出ています。どこかで見たことがあるような…。それは人間の手のように見えました。びっくりしたけれどなんかの人形だろうと思っていました。恐る恐るドキドキする鼓動を抑えながらちょっと近づいてみました。

 

マネキン?え?

 

当時まだ携帯電話がなかった私は急いで一番近い民家に行って110番してもらいました。しばらくするとたくさんのパトカーがやってきました。

そうです。私が見つけたマネキンは『本物』だったんです。

その川は私のお気に入りのポイントだったのですが、あれから気味が悪いので行っていません。

 

釣り場から連れ帰ったもの

ペンネーム 釣り変態さんの投稿

サーフでシーバス釣りを嗜んでいる者です。

数年前の出来事です。当時の私はシーバス釣りに無我夢中でした。次の日が仕事であろうとも、ほぼ毎日のように夜のサーフに変態的に足を運んでいました。

それはお盆も例外ではありませんでした(笑)

他の地域ではどうかわかりませんが、私の地域では、お盆あたりからシーバスが釣れだすのでなんとしても行かなくてはなりませんでした(^_^;)笑

向かったポイントは国道に面したサーフで、車を降りてから草の生い茂った断崖絶壁を30メートルほど階段で下ったところにあります。岸際には沈みテトラがならんでおり、テトラが人に見えるような不気味な雰囲気で、断崖絶壁からは小さな滝の流れこみもあるというロケーションは抜群のポイントとなっています。

しかもここは、一昔前は大きな木があり、首吊り自殺の名所だったようです(^_^;)

さて、そんな場所でのお盆に釣りをするのですから、もはや正気の沙汰ではないのはお分かりになるかと思います。

ただ私は霊感もなく、幽霊を全く信じていませんでした。ですのでなにも考えずにいつものようにキャストを続けました。

その時です。

背後から砂浜を歩く足音が聞こえます。。

こんな日に自分以外のアングラーがいるのかー。アホだなー(自分も)。ライトくらいつけてこいよ。と思いながらキャストを続けました。

足音は聞こえたり聞こえなかったり、まるでアングラーがランガンしているかの様でしたので疑いもしませんでした。

しばらくしてふとライトをつけて周りを見渡しましたが誰もいない事に気付きました。

帰ったのか。。。

そう思いキャストを再開した瞬間、また足音が聞こえます。

うそやん??

さすがに怖くなり後ろを振り向けなくなりました。すると歩いていた足音が突然走る音に変わりました!

やべ!マジヤバイ??

ゆっくり巻いていたリールをごり巻きして回収します。勢いのあまりティップにルアーがガシャン??笑

慌ている私はそれどころではありません。

脇目もくれず猛ダッシュで来た道を駆け上がり車に乗り込んで猛ダッシュで帰宅です。

なんだったんだ、、あれは、、

途方にくれながらの帰り道を走ります。

トンネルに差し掛かった時です。ふとトンネルの入口を見上げると、明らかな女性の人影がポツンと人が立てないような場所に立っています。

うそやん????

アクセルを踏む量がますます上がります。

きっと怖い気持ちのまま周りを見たから幻が見えたんだろう。。

そう言い聞かせながらなんとか家に着きました。ちょうど母が玄関先におり、車を降りたところで母に声をかけられました。

「あれぇ、釣りに行ったんじゃなかったんだ。〇〇ちゃん(当時の彼女)とデートだったんだね。」

母がなにを言っているのかわかりません。

問いただすと、

「さっき車ですれ違った時後ろに女の子乗ってたじゃない」

。。。。。。。。

。。。。。。。。

もうお盆には釣りに行かないと決めました(笑)



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イカ

ペンネーム きっちょめさんの投稿

初夏の深夜、とある漁港の街灯回りでルアーフィッシングに興じていたときのこと。

 

この日は風も無く海も穏やか。

漁港内は前日降った雨のせいかややゴミが多く濁りが入っていたが、気持ちよく釣りが楽しめる状況。

しかしいつも通り、魚信なし。異常なし。

 

今日もボーズかと思いながら、ぼけーっと水中に目をやる。

すると足元の水深50~100cmあたりに、長さにして20cm弱の白っぽい物体がふわーっと漂っている。

イカだ。濁りがきついので確信は持てないが、小さなアオリイカだろう。

その漁港ではこれまでにも度々アオリイカを目撃していた。

とりあえずソイツを釣ってやろうと画策する。

 

エギングはやらないのでエギは持っていない。

イカは小さなミノーのステイにアタックしてくることがたまにあるが、期待値は高くない。

ロッドにはヘビーシンキングのミノー7cmがぶら下がっている。

よし、手っ取り早くコイツを使って引っ掛けてしまおう。

 

そんな思考をめぐらせつつ、ターゲットの真下にゆっくりとミノーを落としこむ。

 

しめしめ。ヤツは安心しきっているのか逃げる気配がない。

気合とともに一気にロッドをあおり、引っ掛けにかかる。

うまい具合にターゲットはリアフックにかかった。

そのままの勢いで水面に顔を出す。

 

そのターゲットの姿をみて愕然とした。

イカではなかった。

 

水面をわって挨拶してきたのは使用済みのコン○ーム。

水が入っているためだろう、先端がやや膨張している・・・。

 

大事なルアーから外す際、涙がこぼれ落ちたのは言うまでもない。

 

そしてアオ○ンして海にコレを捨てた若者に言いたい。

ゴミは持ち帰りましょう。

 

川面に蠢く赤いもの

ペンネーム ボラタマニハシーバスさんの投稿

今年の梅雨時のことである。

俺はいつものように釣果に飢えていた。前回シーバスを釣り上げたのはいつだったか、すでに記憶はない。釣りでかろうじて保たれている俺の自尊心はもはや「根がかりしてラインを切るしかない状況」に似て諦観さえ芽生えてる。であるからして、たとえ豪雨であろうと連日連夜釣り場を探してウロウロして雨脚の弱るタイミングを待ってみたり、橋の下のような濡れない場所を探していた。

まだ寒い時期から通っている河口に気になるフィールドが存在していた。俺は豪雨の翌日の夜その場所へ行くことにしたのだった。

そこは湖から海へとつながる川で、その河口は釣り人で賑わうのだがなぜか川側では釣り人を見たことがなかった。河口から一つ目の橋まで200mくらい、橋脚の3m上流には水門があるが形だけで機能していない。その水門を越えると川沿いに約100m程足場の良い岸が整備されている。そこに人が足を踏み入れた形跡もなく、何の必要性も感じられない岸はしかし絶好の釣り場に思え、一度、日中に視察しておいたのだが、実際に釣りをするのは初めてだった。 時刻は22時を少し回っていて空は厚い雲に覆われているがそれでも薄らと月明かりに照らされ目が慣れてくるとヘッドライトと灯さなくともかろうじて歩くことは可能であった。 昼間見た時よりも全然川幅は狭く感じられ本気でルアーを投げれば向こう岸に届いてしまいそうである。俺は水門を見下ろせる場所に立ち、両側を垂れ下がる草木に覆われたこの小さい川を眺め、釣り人が来ない理由をなんとなく理解した。 こんなところは魚より幽霊に会いたい者が訪れるべきであり、まして一人で来てはいけない雰囲気で満ち溢れている。ここから川沿いの岸へと降りることは親のセックスを覗きに行くような気持ち悪さと不安感で足が竦む。

いっそ今すぐ土砂降りの雨が水面を豪打してこれ以上進まなくて良い大義名分をくれないか、と空を見上げる。 が、雲の隙間から覗く月が「早く行け」と睨んでいる。 今夜しかない。そう言い聞かせ水門から川岸へ降りる。岸は1.5m程の幅しかなくそこに上からは木の枝が垂れさがってそこに立ってロッドを振るには少し窮屈であるが先端まで行けば少し広くなっているスペースがあるようだ。雨で水量が増していることもあって水面が凄く近い。俺はあえてスニーカーを履いて足音を立てないように、魚に気づかれないようにヘッドライトも点けずにゆっくりひっそりと岸が途切れる場所を目指して歩くのであった。

30mも歩くと魚への期待感なんぞスッカリ消失し、ただただ後悔の念に早く帰りたいとしか思わなくなった。なのに、後ろを振り返ることも恐怖で、何かに背中を押されるように前に進む。50m付近まで来るとボンヤリと岸の先端部が確認できた。目的地が見えた事で少し心に余裕が芽生える。ふと、ヘッドライトを灯すという事に考えが及ぶ。というか何故いままでそこまで怖い思いをしながら灯りを点けなかったんだと自嘲してみる。

川を照らさないように足元の草むらに焦点を当て更に進む。

後、30mも歩けば先端に着く。といった地点に来たとき、自分が向かう方向から人が歩いて来るのが分かった。実に痩せたシルエット、ロッドらしき棒を右手に持って何故か左手も挙げて向かってくる。カマキリって印象。 その時の俺の感情はハッキリ思い出せない。実際、ハッキリしなかったんだと思う。驚き、恐怖、安堵、そして釣り人としては残念だったはず。  何しろそのカマキリ野郎と10m先位で行き違う計算を行い、その地点で自分が草ムラに入り込み身を小さくしてなんとか行き違うことのできるスペースを確保した。もちろんヘッドライトの灯りが相手に直接当たらないよう手で覆いつつ下を向いて待ってやった。そいつが近づいてきたことが分かったのは何よりその匂いだった。その時の俺の感情はハッキリ思い出せる。(クッサーイ)だ。釣り人同士のコミュニケだとかこんな夜にこんな場所にいる変人同士の親近感とか、そんなものもこの匂いの中では機能することはなく、ただ早く行き過ぎて下さーいと思った。匂いが自分の体の後ろへと移動した時、俺は言いようのない違和感にまた恐怖心に足がすくんでいた。カマキリ野郎の暗い雰囲気、丁度魚が腐りかける時の匂いに気を取られすぎていたが、そもそも、先端には人影はなかったはずで、今、自分が通って来た道も例えば雨でできた大きな水溜まりを避けるためには必ず垂れ下がった枝を折らなければならなかったり、必ず踏んでしまって崩れる石があったりして、人が通っていないことは明らかだった。自分以外に車も停めてなかった。 いったいどこから来たのだ?  上流からウェーディングして来たというなら、まあ、苦しいながらもあの匂いの説明は可能かもしれない。豪雨の後で水深も水流も人が立っていられるレベルではないけど。あっつまり流されて来たというわけか、命からがら岸にたどり着いたわけね。そんなわけねーよな…。 何より俺を支配する違和感の最大の要因に気づいてしたった。 匂いが近づき遠ざかる…いやいや普通は足音やろぅ?  怖い、怖すぎる。奴が去っていった、つまり自分が歩いてきた道を文字通り恐る恐る振り返った。

話が長くなってしまってどこまで話したかもわからなくなってきた・・・。字数制限はなかったはずなので続けてしまいます。

臭い男(かどうか見ていないが)を振り返ったがすでに姿はなかった。  信じられない事であるがもう俺の感覚もマヒしていたから深くは考えなかった。ただ俺の横を通り過ぎてから3分は過ぎていないことは確かであるが見えなくなっていても不思議ではないのかもしれない、藪の中に俺の知らない脇道があったのかもしれないし、川の中を泳いだのかもしれない。いやそうであってほしい。常識にとらわれなければ方法はいくらでもある・・・はず。足元に無数にできている水たまりやそこらじゅうに落ちている笹なんかを踏む音が聞こえないのはつま先だけで本当に慎重に歩いていたから…だろう。

先端にたどり着いたころにはもう現実逃避、感情鈍麻の術を習得したため怖いとか寒いとか感じなくなっていた。 そして魚を釣りたいという感情も消失していた。思えば細い糸の先に感じる必死の生命、それによって自分の存在を確かめる作業、それが俺にとっての釣りの大部分。 この世に生まれる時以来の恐怖を味わったことで十分に自分の生命を感じる事ができた今、釣りはただ魚を苛めるだけの不道徳行為でしかない。 それでもこんな状況で釣りをしたという記憶だけは今後の自分のために残しておいてやらなければならないと思ったのかどうか、それが当然のように流れの上流に向かってルアーを投げる自分がいた。 ルアーが着水するポチャンという音で再びビクっと恐怖が頭をもたげる。

ヘッドライトは灯したまま、鼻歌どころかカラカラの喉から出る精一杯の声で歌を唄いながらリールを巻く。「釣れてくれるな」と思いながらルアーを回収するのは初めてだった。 口から出る曲はなぜかチャゲアスの「おいかけて~おいかけて~も・・・」てやつ。その一節しか知らないのでそればかり繰り返し、そのリズムでリールハンドルを回転させていたらヌッスンってロッドを持つ右手に重さが乗る。 「まあ、いつものようにバレるだろう、ささっとバレてください」と祈ったがあまり暴れない・・・。時折、右手がグンと引っ張られ持っていかれそうになるがドラグはほとんど出ない。 巨ボラだろうかと思った途端にあの男の匂いが鼻の奥の奥から甦ってきて吐き気を覚えた。ボラならもっと動くだろう、まるで綱引きをしているように強く短く引いては止まる。こちらが巻けば抵抗する。 リールを1回転回せば半回転戻される。 時折意を決したように下へ潜ろうとする感触が伝わるが竿を立てれば比較簡単に阻止できる。 エイかヒラメかマゴチかチヌか・・・70cmまでのシーバスと巨ボラ、可愛いヒラメしか釣った経験のない俺にはその正体は推測すら難しい。 カメやスッポンはたまたヌートリアとか魚以外の生き物のほうが想像しやすかった。 恐怖心に凝り固まった脳内に次々と見たことのある生き物をスキャンしてありえないウイルスの侵入を防御するのだった。 釣り人の性か正体だけは確かめておかなければいけないという思いもあったが、思い浮かぶ生物も尽き、永遠に続くと思われることやり取りに精神の消耗を感じていた。ラインを切ってしまおうとロッドを寝かせて思いっきり引っ張ったら意に反して寄ってきた。 そしてまた引っ張り返される。 左手でラインカッターを取出す。少し手先が震えているのが分かる。 さらに大きくロッドが曲がったので思わず左もロッドに添えた。折れてもいい、そう思ってロッドを煽る。 ヘッドライトの明かりに照らされ水面にその生物が現れた。 思いのほか近くまで来ていたがそれでも20m先くらいだろうか。 それは川でよく引っ掛けるゴム手袋のように見えた。赤かピンク色の手袋の指の部分だけが水面から見えていると認知したが、もちろんそれが不自然であることも理解していた。数秒目視したのみで水面下に沈んだその正体を断定することはできないが、魚でないことを確信には十分だった。 でも、あの手袋はラインの途中に引っかかっただけでその下に魚がいるということも考えられる。今もロッドを持つ右手に伝わる生命反応は俺を混乱させる一方であった。

それから数分に渡り思考を停止させ何もせずに両手でロッドを握って勝手に弱って浮いてくるかラインが切れるかフックが伸びるかしてくれるのを待った。 静けさだけが騒々しく焦燥と憔悴の中、「ギー ギー ギー」と川から音が聞こえた。停留してある船のロープが風だったり波だったりのせいで軋むあの音だった。 釣りをしている者には馴染みの音だ。近くに船が停められるような場所がないことを知っていなければ心地よく感じたかもしれない。

それは一定の間隔で聞こえてきた。

たとえばピンポン玉が床に落ちて何度か跳ねる時の音が俺には「ホンマニハラヘッター」と聞こえることが良くある。 車のワイパーが左右にフロントガラスを擦る音が「シュクベン」と聞こえてウンコしたくなることがある。そんな風にこの時のロープが軋む音が「ガスゲード」って俺には聞こえた。 ガスゲードって何?意味不明が気持ち悪くてその音が鳴る度に集中して聞く。 水面には再び手袋のような物が顔を出す。 今度は指が2本折れ曲がっているような形だった。 その物が見えた場所と音が聞こえる場所は少し離れているようだ。 リールを巻く。少しづつ弱ってきているのだろう、巻く感覚が軽くなったようだ。 「ガスゲード」音は変わらず等間隔で聞こえる 貸すけど? カスタード? 何とか音に意味を持たせようとする作業は脳内で続いている。 10m先の水面でまた物体が見えた。 木の根っこのように見える。更にロッドを煽るとまた抵抗し潜っていった。 ドラグが出ていく。 あの音が聞こえる。音のでる場所が近くなっているような気がする。「ガースーゲードー」その音が大きくなってきているように感じるのだ。

それが最後の抵抗だったのかずいぶんと素直に寄ってきて水面に木の根っこのようなものと同時に丸い物体も見えた。水面に出た木の根がもあもあと蠢いていることも確認できたせつなまた水面から消え「ガースーゲード」が聞こえる。そして水面に浮いてきたその物との距離は5m位まで縮まって細長くて赤い何かの手が閉じたり開いたりしているように映った。

水中に光る2つの目。 俺の身体を流れる血が冷たくなった。背筋に冷水が流れるような感触。

点けっぱなしだったヘッドライトが「もう限界だ」とばかりに光の量を落とし始める。

抵抗を止めたソレが足元まで寄ってくる。

その時になってようやく携帯電話で人を呼ぶという考えに至った。せめて釣り仲間と会話を交わすことができれば少しこの崩れ落ちそうな精神状態も改善されるのではないか。

タモを取ろうとして背中に回した左手を左の胸ポケットに移動させ、どうにかスマホを取り出す。画面の明るさが水面を照らした時、ガッシャーン!窓ガラスをホームランボールが割るような音を立てて何かが水面から飛び出て来た。 俺は左手からこぼれ落ちるスマホがスローモーションで川へ消えていく様を眺めていた。心臓は止まった。確かにそう感じた。それでいて聡明な意識の下であの臭い匂いが甦ってきた。その匂いはすぐ背後から覆いかぶさってくるように俺に襲い掛かる。スマホが消えた水面には真っ赤な手が肘まで出て俺の足首を掴もうともがいている。

「腰が抜ける」という表現は比喩的なものだとその時までは思っていた。 本当だった。

確かに下半身と上半身を繋ぐ部位をだるま落としのように抜き取られ俺は尻からストンと地面に落ちた。

実は、この話はここで終わりである。

気が付けば俺は車の運転席で足をハンドルの上に投げ出して、びっしょり汗をかいていた。 時刻は朝5時、外は少し明るくなり始めている。 身体が動くことを確かめ手首に指を当てて脈があることを確かめる。

車の後部に積んであるタモからは2週間前に掬ったボラの匂いが洗いきれていないのだろう、生魚の匂いが狭い車内に漂っていた。

靴底を確認すると濡れても汚れてもいない。

ここに到着してから雨が止むのを待つ間に眠ってしまったのだろう。

スマホがなくなっている事に気が付いたのは家に帰ってからだった。

それからあの場所には近づいていない。

あれから半年。あの日から俺は急に釣りが上手くなったような気がしている。

バラすこともラインブレイクも相変わらず多いが魚の居場所が分かるというか・・・居そうな所に投げると簡単に魚が掛かるようになった。釣りを面白いとは感じないが、毎日川や海に行って魚を探している。居そうなところがなければ泳いで対岸に渡り、波に呑まれながら磯に渡り、危険を顧みない釣行に「いつかアイツは死ぬ」と釣り仲間は俺を避けるようになった。 仕事場でも同僚との距離が開いたように感じる。俺が乗った後の公用車にひたすらファブリースを噴霧している同僚の姿を何度も見た。 風呂に入って新品の衣類で身を固めて電車に乗ってみたら俺の周囲だけ空間ができていた。 どうやら俺はかなり臭いらしい。 来年の梅雨にはもう一度あの場所へ行ってみようと思っている。それまでにはそこが俺の唯一の居場所になっているような気がしている。

 

 


 

以上で投稿された怖い話は終わりです。

投稿していただいたみなさん、どうもありがとうございました。

 

さて、あなたが一番怖いと感じた話はどれだったでしょうか?

1つ選んでみてくださいね。

 

【読者投稿】私が釣りで体験した怖い話のアンケート

  • 砂浜にたたずむ黒い影 (21%, 18 Votes)
  • 異界との交流 (4%, 3 Votes)
  • 首に走る衝撃 (19%, 16 Votes)
  • 河原に落ちてたマネキン (5%, 4 Votes)
  • 釣り場から連れ帰ったもの (26%, 22 Votes)
  • イカ (16%, 14 Votes)
  • 川面に蠢く赤いもの (9%, 8 Votes)

Total Voters: 85

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結果発表は2017年1月16日(月)です。またね~♪