さて、これからの時期は暖かくなって、いよいよ釣りシーズン到来ですが、統計的に5月は一年の中で特に事故数が多い月です。

釣り月別事故者数
引用元:海上保安庁

ありがたいことに私のブログでも読者の方からメールをいただくことがありますが、やはりみなさん初心者ですから釣りの知識が乏しいのは仕方のないことです。それこそ、これからどんどんいろんなことを試行錯誤していただいて(それが釣りの醍醐味でもあるわけですから)、存分に楽しんでいただきたいと思います。

一方、少し私が不安に感じることがあります。それは初心者の方は釣りについての危険性や安全面についても知識が乏しいということです。

今回は釣り事故の統計をご紹介して、初心者の皆さんに「釣りは自然の中で楽しむ趣味であり、危険性がたっぷりあるんだよ」、ということをお伝えできればと思います。

※ 今回の記事は海上保安庁のデータ(H17~H26)を引用させていただいています。



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ライフジャケットを着用したほうが生存率が高い

下のグラフを見れば一目瞭然、釣り中の事故において、生存者のグラフではライフジャケットの着用率が比較的高く、死者・行方不明者のグラフではライフジャケットの着用率が非常に低いのがわかります。

着用状況(生存者)

着用状況(死亡者)

ライフジャケットを着用すれば生存率は倍になる

H17~H26までの生存者または死亡・行方不明者別にライフジャケットの着用率を円グラフで表しました。生存者のほうがライフジャケットの着用率が高いことがわかります。

生存者のライフジャケット着用率は26%、死亡・行方不明者の着用率は13%で、生存者の着用率は死亡・行方不明者の着用率の約2倍になっています。

ここで、「ライフジャケットを着用すると生存率が上がるのか~」と思われるかもしれませんが、逆に死亡・行方不明者の約13%の方がライフジャケットを着用していたことに着目してほしいです。これは、ライフジャケットを着用していたからと言って必ず助かるわけではないということを示しています。ですが、着用しないよりは着用していた方が生存率が上がることも確かです。このことから、釣りをする上でライフジャケットを着用することは命を守る最低条件であると考えたほうがよさそうです。

事故の種類で圧倒的に多いのは海中転落

釣りでの事故はいろいろ考えられますが、データとして見てもやはり多いのが水中への転落です。全事故のうち87.7%が海中転落です。

事故種類割合

それでは海中転落場所として多いのはどんな場所でしょうか。

事故発生場所割合

釣り中の事故として最も多い海中転落ですが、その発生場所は防波堤35.9%、磯場28.4%、岸壁24.0%、消波ブロック8.7%の4つの場所で全体の約95%を占めます。

さて、それぞれの場所での生存率と死亡・行方不明率と、ライフジャケットの着用率を見てみましょう。

事故発生場所別生存率

まず注目してほしいのは、磯場です。グラフの中では、一番ライフジャケットの着用率が高いにも関わらず生存率が低いです。磯場での釣りは特に危険が多いということはこのグラフからもおわかりかと思います。私は初心者の方には磯場での釣りはおすすめしません。磯場で釣りをするのであれば必ず経験豊富で危険性についても熟知した方と同行されることをおすすめします。

逆に、防波堤岸壁消波ブロックでのライフジャケットの着用率の低さが目立ちます。低すぎます!身近な場所ではあるものの、事故件数が非常に多く、たくさんの方が亡くなっています。この3つの場所でも磯場並みに高いライフジャケットの着用率であれば相当な数の方が助かったであろうことは容易に想像がつきます。



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60歳前後が最も事故者数が多い

次に、釣り人の年齢別の事故者数を見てみましょう。下のグラフには事故者数だけでなく、死者・行方不明者数とライフジャケットの着用率も表しました。

年齢別事故者数着用率

事故者数または死者・行方不明者のピークは60歳前後が多いのがよくわかります。また、ライフジャケットの着用率は30歳前後をピークに高齢になるほど着用率が低くなっていきます。またお子さんの着用率の低さも目立ちます。

以上のデータからも60歳前後は事故者数が多いこととは反対にライフジャケットの着用率が低いことが分かります。高齢化社会を迎え、退職後も大変精力的に活動される方が増え、老後の趣味として釣りを楽しんでいらっしゃる方も多いと思います。また、退職を機に釣りを始められる方もいらっしゃるでしょう。ぜひライフジャケットの着用だけは忘れずに釣りは危険と隣り合わせな趣味であることを意識していただきたいと思います。

マリンレジャーの事故の3分の1は釣りによるもの

最後にマリンレジャーに伴う事故の発生状況についてです。遊泳中と釣り中の2つがかなりの割合を占めています。

マリンレジャー事故発生状況

釣りによる事故の発生数は全体の3分の1を占めています。これは、「サーフィン、磯遊び、ボードセーリング、スキューバダイビング、ウェイクボード、その他」のすべてを合わせた数とちょうど同じくらいの割合になります。それだけ釣りにおける事故の発生数は他のマリンレジャーに比べて多いということを表しています。

もちろんマリンレジャー全体に占める釣り人口の割合が非常に大きいことも原因としてあると思います。ではマリンレジャーの人口比をちょっと覗いてみましょう。

マリンレジャーの人口比
引用元:海上保安庁

平成11年と古いデータですが、やはり海水浴と釣りがほとんどを占めていますね。釣り人口は全体の約4割を占めています。人口が多い分、事故数が多いことが予想できます。

私(釣り太郎)の事故はこの中には含まれていない

と、ここまで釣りでの事故やそれに関係する統計についてご紹介してきましたが、この中には私の事故件数はカウントされていません

私が夜の海で転落したお話

みなさんは港で海に落ちたことがありますか?私は落ちました。とある大きな港の岸壁で夜釣りをしていた時のことです。夜10時頃。水深は10m以上あるような場所です。まだ寒さの残る4月の海でした。この時期になると夜光虫というプランクトンが現れ、水面で青白い光を放ち幻想的な光景が見られます。岸壁の真下でモヤモヤと光り輝いていました。 夜光虫の画像 出典:https://twitter.com/umasikesiki/ 私は「綺麗だなぁ~。」と思い、ちょうどバックに入っていた小さなプラスチックケースにすくってみようと思いました。プラ...

なぜなら私の場合は自分で海から這い上がり、消防にもどこにも報告していないからです。以上で紹介してきた海上保安庁のデータは救助活動や捜索活動がされた事故のデータではないかと思います。私のように報告も何もしていない場合はカウントされていません。

そう考えると、統計データの裏にはその何倍もの事故があることが予想されます。

ただでさえ人口の多い釣りというマリンレジャー。釣りは自然の中で楽しむ趣味であって、いつでも危険と隣り合わせだということを覚えておいてほしいと思います。初心者の方は“釣りたい一心”で安全面について蔑(ないがしろ)にしがちです。

ぜひとも安全面には十分に注意して釣りを楽しんでほしいと思います。

釣りの危険性を伝えるのも私のブログの使命

とかなんとか、今回も釣りの危険性についていろいろと書いてみましたが、こういうのを書くのが私のブログの使命かなと思うんです。

私も釣り初心者の時、ウェーダーを着てジャバジャバ砂浜に入って行って急な流れにハマって沖に引きずり込まれそうになったり、テトラポットで滑って危うく落ちかけたり、川沿いの坂になっている護岸のコケで滑って川の中まで転げ落ちたり、ルアーで自分の指を釣って夜の救急外来に行ったり、投げた針が頭に思いっきり引っ掛かったり…(笑)

とにかく、釣りをしていればいろんな危険な場面があるものです。予想できていれば誰でも回避できます。ですが、事故というものは予想もできないようなときに不意に訪れます。ですから普段からの心構えと装備がとても重要だと思います。

このブログを見てくれた方が少しでも安全について考え、実行してくれることを望みます。

>> ライフジャケットを装着していたから助かった命があった

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