まず最初に結論から言ってしまうと、私はどんな色(カラー)のルアーでも釣れると思っています。

根拠は、「いろいろと試して、実際に釣れているから」です。

ただし、私が参考にしたルアーはアイマのサスケやコモモです。ルアーの形状や泳ぎ方の違いによる差が出ては意味がないので、ルアーの種類は固定してカラーのみ変えて試しました。

という前置きをしてからお話を進めたいと思います。

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一番釣れないカラーは自然な魚の色

さてさて、話は急にぶっ飛びますが、生物というのは人間が想像もつかないような長い長い時間をかけて進化してきました。そんな悠久の時間をかけて生物は弱肉強食&適者生存を繰り返し、現在の姿にあるわけです。

 

たまに色素異常の突然変異個体が生まれることがあります。アルビノ(真っ白)やヒメダカや金魚のような色など、自然界では“普通”じゃない色の個体です。

これらが自然界で固定されること(子孫を残し種として確立されること)はまずありません。なぜなら外敵に発見されやすいため捕食される確率が非常に高く、結果として固定される前に絶滅してしまうからです。(ヒメダカや金魚は突然変異種を人間が固定して管理している魚です)

 

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そうして考えると、捕食者であるフィッシュイーターに最も捕食されにくい(発見されにくい)色はどんなカラーでしょうか。

答えはすでにいたるところで見ることが出来ます。今現在どこでも見ることができる自然の魚の色です。海であればサバやアジのような背中が暗く、お腹が明るいカラーでしょう。白浜であればキスのような白っぽい半透明なカラー。渓流であればイワナやニジマス、ヤマメのように斑点模様があるカラーでしょう。

 

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日本や寒い地方の魚は普通は背中が暗い色、お腹が明るい色をしていますよね?自然界の魚は、背中に明るい光を受け、お腹に影ができます。つまり、背中は明るく照らされ、お腹は影ができて暗くなります。結果、全体として陰影が弱くなり、横から見た時に奥行きが感じられなくなるため周りの景色に同化する効果があります。これを『カウンター・シェーディング』といいます。これは軍用機などでも取り入れられている仕組みです。

 

<イメージ図>

カウンター・シェーディングなしのイワシ

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<イメージ図>

カウンター・シェーディングありのイワシ

(背中は明るく、お腹は暗くなる)

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さらにこの背中が暗く、お腹が明るいのにはもう一つ意味があります。背中が暗いのは上から見たとき水中の色と同化するため、お腹が明るいのは水中から見上げたとき空の色と同化するためです。

 

このように、それぞれの生物が、それぞれの生息域(環境)にできる限り同化して、外敵に捕食される確率を限界まで抑えたカラーが現存する魚の色なのです。

 

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もう何が言いたいかわかりますよね?私が一番釣れないカラーだと思うのは魚そっくりなカラーです。それは外敵から捕食される確率が一番低くなるように生物たちが長年かけて編み出したカラーだからです。通常こういう魚そっくりに似せたカラーをルアー界では“ナチュラルカラー”と言うそうです。

 

「え?でもナチュラルカラーでも釣れるよ?」

 

と言いたいのもよくわかります。自然界の捕食者はナチュラルカラーの小魚を食べているのですから、目の前を小魚が泳いでいれば発見し捕食します。捕食できる(発見できる)確率が低いだけで捕食はできます。ですから釣れないことはないです。

それから、そもそもナチュラルカラーのルアーはカラーがナチュラルに近いかもしれませんが、泳ぎ方がナチュラルではありません。人間にはルアーがどんなになまめかしく本物っぽく泳いで見えても、自然界の本物の小魚に比べると明らかに違和感のある泳ぎ方となります。この違和感が捕食者の気を引き、ナチュラルカラーと言えどもフィッシュイーターが発見する確率を高くしているのだと思います。

 

色調よりも濃淡

私は、「魚は色を認識できるものも多い」と思っています。そのような論文もあります。ですがフィッシュイーター(捕食者)が獲物を捕らえる時、一瞬でベイトである小魚を判断し、一瞬で動きを捉え確実に捕食するためには、色情報は重要ではないように思います。捕食活動のときには視覚から得られる情報量は必要最小限の方がいいはずだからです。

私は人工知能や神経生理学について学んだことがありますが、例えばコンピュータがある写真から『顔』など “目的となる特定の形” を抽出する場合は、あえて写真の情報から色を削除して白黒だけにして情報処理することがあります。入ってくる情報量を必要最小限にすることで結果を出すまでにかかる計算時間が短くて済むからです。

 

例えば先ほどの画像の情報量を見てみましょう。

↓51.7キロバイト

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それに対し、色情報を消した白黒写真はどうでしょう。

↓36.1キロバイト

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白黒の方が30%以上も情報量がカットされています。例えば、コンピュータがこの写真の中から「イワシ」を探し出すプログラムを書いたとしましょう。白黒画像の方が断然早く探し出してくれます。

繁殖の婚姻色や身を守るための警戒色など、瞬間的な判断が必要ではない場合は色を利用するのかもしれません。ですが、瞬間的な判断が必要となる捕食活動のときはできるだけ色情報を無視して対象となる物体の輪郭などの濃淡だけを見ていると思われます。

 

目の網膜には2種類の神経細胞があります。1つは色を認識することに特化したもの(錐体細胞)。そしてもう一つは輪郭など濃淡(明暗)を識別することに特化したもの(桿体細胞)。桿体細胞は特に光の少ない夜に大活躍しますが、人間を含め、生物の目というのはこの桿体細胞の数のほうが何十倍も多いです。特に光の少ない場所に住む生物や夜行性の生物は桿体細胞を多く持っています。

私は俊敏な判断が必要な捕食行動でもこの桿体細胞が使われているのだと思います。フィッシュイーターがルアーを発見しやすいかどうかは、人間が見るような色彩の違いよりも濃淡(明暗)の違いによるところが大きいと思います。



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実はよく釣れる、真っ黒ルアーと真っ白ルアー

以上のような結果から、私は結局はどのカラーのルアーでも釣れるし、色の違いよりも濃淡の違いが重要だと思っています。

私は主に夜にルアーフィッシングをしていますが、真っ暗闇なのに真っ黒なルアーがよく釣れるんです。これはルアーが水中でハッキリとした輪郭を描いて泳ぐからだと思います。

逆に真っ白ルアーも釣れます。これも同じく輪郭がハッキリするからでしょう。

 

イメージでいえば下のような感じです。

↓真っ黒ルアー

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↓真っ白ルアー

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先に載せたカウンター・シェーディングのイワシと比べても、真っ黒ルアーと真っ白ルアーの輪郭がいかにハッキリしているのか分かると思います↓

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ちなみに、私の真っ黒ルアーは油性マジックで黒塗りしただけです。真っ白ルアーは修正液で塗っています。ヤフオクで塗装剥げまくりの安いものを購入して自分で色を塗っています。よく釣れます。

 

場合によってはナチュラルカラーが効く

ナチュラルカラーに反応がいい場合があります。それはアングラーが多く魚がスレてしまった場所です。

たくさんの人がありとあらゆる派手なカラー(輪郭のハッキリ出るカラー)を投げることで、魚が警戒心を持ってしまっている場合です。このような場所ではむしろルアーの発見率を落としてでも自然な色合いのナチュラルカラーのほうが警戒心が薄くなるのでしょう。

ですから派手なカラーで反応がない時はナチュラルカラーが効果的な場合もあります。

 

最終的に私が選ぶルアーカラーとは

ナチュラルさと輪郭(濃淡)の明瞭さがちょうどいいルアーカラーがあります。それはクリアカラーです。

クリアカラーは実は水中では光が乱反射するので非常に輪郭が出やすいです。それでいて派手なカラーではなく、まるでキスのような半透明な魚を連想させ、むしろフィッシュイーターにに警戒心を与えないようなナチュラルさを持っています。ですから、人がたくさん入って魚がスレたような場所でもヒットしてくれます。

ナチュラルでありながらしっかりとアピールする、それがクリアカラーだと思います。実は私が一番好きなカラーです。おすすめです。

 

 

定番のレッドヘッドについて

なぜかレッドヘッドは私もよく釣れるなと思います。私が考えた理由は、頭の部分で濃淡を強調し、胴体部分でナチュラルさをアピールできるからだと思います。

つまり、↑のクリアカラーと同じように、ナチュラルさとアピールさの両方を兼ね揃えたのがレッドヘッドなのだと思います。

 

さらに、私がレッドヘッドに関して思うことがもう一つあります。それは “頭の向きがわかる(泳ぐ方向がわかる)” ということです。

 

「ティンバーゲンの実験」というのがあります。
イギリスの動物行動学者ティンバーゲンは下の図のような模型を作って、ガンのひなの上に通した針金に沿って模型を動かして、ひなの様子を観察してみました。

 

ティンバーゲンが使用した模型図
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面白いことにAの方向に動かすとひな達は瞬時にうずくまりじっと動きを止めて逃避行動を取りました。逆にBの方向に動かしてもひな達は餌をついばんだり遊んだりと何事もないように行動したといいます。

 

これはAの方向に動かした模型のシルエットがワシやタカなどの猛禽類をイメージさせたためです。猛禽類からの先天的な防御行動として、ひな達はこのシルエットが頭上を横切ると反射的に逃避行動を取ったわけです。

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出典:http://www.asahi-net.or.jp/~rz7a-mymt/yacho/tobi/

 

Bに動かした場合はガンや白鳥など首の長い草食系の鳥を連想させるため、ひなたちは何事もなかったかのように過ごしたわけです。

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出典:http://blogs.yahoo.co.jp/mennkuimenmen/36156826.html

 

この例からもわかるように、ある種の生物(今回はがんのひな)はシルエットとその動く向きで行動が変わるということがわかります。

ルアーのレッドヘッドの場合は、頭の部分が赤く、泳ぐ方向もその頭の向きなのでフィッシュイーターから見たら反射的にそれが小魚だと判断できるし、捕食のスイッチが入るのだと思います。

これがもし、お尻が赤い“レッドシッポ”なんてのがあったら、たぶん釣れないと思います。

 

まとめると、レッドヘッドというカラーは、頭部で輪郭(濃淡)のハッキリしたレッドカラーでアピールし、胴体全体でナチュラルに演出し、泳ぐ方向性を明確に伝えることでフィッシュイーターの捕食スイッチを刺激するルアーだと私は思います。

 

 

 

最後に

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初心者の時は、魚そっくりなルアーほどヒット率が高いはずだと思い、魚そっくりなカラーのルアーばかりを買い求めてしまうかもしれません。ですが、魚そっくりなカラーでなくては釣れないのかというとそんなことはありません。むしろ、もっと釣れるカラーもたくさんあります。

私の経験では、ルアーの選択はカラーよりも泳ぎ方と潜行深度が重要です。そして、『釣る場所』が最も重要です。カラーであれこれ悩むよりも、釣る場所で悩むことのほうが重要だと思います。釣る場所を間違わなければどんなカラーでも釣れますよ。本当に。でも、いろいろなカラーを試すことも楽しいですけどね☆

また何かルアーカラーについて思うことがあれば書きたいと思います。

ご清聴ありがとうございました。

 

※本記事に登場する情報・見解は、あくまでも一説であり、その真偽を確定するものではありません。「ホンマでっか!?」という姿勢で、お楽しみ頂けると幸いです。